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オオトックリイチゴ

オオトックリイチゴはバラ科キイチゴ属の一種で、彦根城以外には知られていない彦根城に固有の植物です。

 オオトックリイチゴはバラ科キイチゴ属の一種で、彦根城以外には知られていない彦根城に固有の植物です。春に直立する茎を出し、茎の高さは 2~2.5メートル にも達します。6・7 月に側枝を伸ばすようになると横臥状になり、枝の先端は地につくと発根して株となります。葉は奇数羽状複葉で全長 20~25センチメートルになり、小葉は 5 枚のものと7 枚のものがあります。6 月上・中旬に開花し、紅紫色の 5 枚の小さな花弁をつけます。7 月になると淡紅色に熟した果実が実り、食することも可能です。
 このオオトックリイチゴは、ナワシロイチゴとトックリイチゴの自然雑種と考えられています。ナワシロイチゴは日本の山野のいたるところに自生し、苗代の頃に実が赤く熟するのでこの名があります。トックリイチゴは、中国大陸及び朝鮮半島が原産で、庭園の植栽にしばしば用いられる植物です。当初の発見箇所が表御殿跡(現在の彦根城博物館の地)であることを考えると、表御殿の庭に植栽されていたトックリイチゴが、在来のナワシロイチゴと自然交配した可能性が考えられます。
 オオトックリイチゴの発見者は、日本の植物学の父と称され、多くの植物を発見・分類した牧野富太郎(1862年~1957年)です。明治 27 年(1894年) 11 月、牧野が伊吹山の植物採集の途次に彦根城に立ち寄った際、表御殿跡で発見しました。この時は茎葉だけだったため、明治 34 年(1901年) 7 月と 35 年(1902年) 6 月に、当時の彦根尋 常中学校(現在の彦根東高校)に在職中の平瀬作五郎(1856年~1925年)が、牧野の依頼でオオトックリイチゴの果実及び花のついた標本を作成し牧野に送付しました。平瀬はイチョウの精子発見者として世界的名声を博した人物です。自身で作成した標本と平瀬から送られた標本を基準として牧野は新種と判断し、学名に平瀬の名を入れて Rubus Hiraseanus Makino と定め、明治 35 年(1902)に『植物学雑誌』第 16 巻に記載しました。
 なお、現在のオオトックリイチゴは彦根城博物館奥で確認(非公開)されるほか、平成初年に天秤櫓前に株分けされたものが観光客に公開されています。
 本種はナワシロイチゴとトックリイチゴの自然雑種が今日まで生き続けている点で貴重であり、また、日本植物学界の二巨星により彦根で発見・命名された記念すべき植物と言えるでしょう。

オオトックリイチゴ

滋賀県彦根市金亀町
http://www.city.hikone.shiga.jp/0000002216.html