彦根城博物館にてテーマ展「能を彩る道具—小道具と作り物—」を開催いたしますので、お知らせします。

天冠


 能において、扇の一種である中啓をはじめとする小道具や舞台に据える作り物は、上演に欠くことができない重要な道具です。面や装束に比べて注目されることは少ないものの、演目の内容や登場人物の役柄を象徴し、演出の上でも重要な役割を果たします。
 小道具と作り物に関する最も古い記録は、能の大成者である世阿弥(1363~1443)の著作です。現在も使用される小道具と作り物の名が見え、能の草創期からこれらが用いられていたことが分かります。
 作り物は、演劇における大道具にあたります。上演のたびに作製し、上演後は解体することを原則とし、主なものとして山、木、小屋、舟のほか鏡台などがあげられます。竹と木の枝、布を主な材料とし、その造形も他の演劇の大道具に比べて至極シンプルである点
が特徴で、物語の情景を表現し、場面転換などの役割も担います。対して小道具は、役者が手に持ったり、身に着けたりして使う道具です。あらかじめ作製・保管するものと、作り物と同じく上演ごとに作るものとがあり、最も基本的な道具である中啓から、冠や烏帽子、太刀、杖、あるいは仏具の鉦鼓、糸を繰る道具である枠枷輪、さらには妖怪が放つ蜘蛛の糸まで、その種類は多岐に渡ります。登場人物の役柄を表す上演に不可欠な道具であり、時に物語の見せ場となる演技にも使われます。これらを用いることで、舞台に趣が
添えられ、また物語を展開させる様々な演出がなされるのです。
 井伊家伝来の能道具は、面と装束のほとんどの種類を網羅し、さらには主要な小道具、作り物用の道具までも備えた大揃いのコレクションです。そのほとんどが、生涯を能に捧げ、自ら舞台に立った井伊家15代直忠(1881~1947)によって収集、発注されたもので、直忠自身がこれらを使って様々な役柄を演じました。
 本展は、これら井伊家伝来の能道具や作り物図などを通して、小道具と作り物の特徴や種類、舞台上での役割などを紹介する展示です。特に大胆な演出で知られ、作り物と小道具を用いた演出の妙が光る「道成寺」を取り上げるほか、それぞれの道具を用いる演目の内容もあわせて解説します。能を彩る小道具や作り物の造形はもちろん、その巧みな演出効果にも注目して御覧ください。

修羅扇

期間

令和4年(2022年)6月23日(木)~7月20日(水)

8:30 ~17:00まで(※入場は16:30まで)

※会期中は無休

場所

彦根城博物館 展示室1


観覧料

大人:500円(450円) 小・中学生:250円(170円)

(  )内は30名以上の団体割引料金

※常設展「“ほんもの”との出会い」も併せてご覧いただけます。



作り物控

関連事業

スライドトーク

期日
令和4年(2022年)6月25日(土) 14:00~(※受付は13:30~)
約30分の解説
場所
彦根城博物館 講堂
定員
35名(※当日先着順)
費用
無料(※ただし、展示室への入室には観覧料が必要です。)
担当
彦根城博物館 学芸員

彦根城博物館

〒522-0061 滋賀県彦根市金亀町1-1
TEL: 0749-22-6100
FAX: 0749-22-6520
http://hikone-castle-museum.jp/