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市指定文化財 馬場家住宅

 馬場家住宅は、旧中山道高宮宿の北よりにある高宮神社の参道南側に位置しています。

 馬場家には「馬場家古文書」と称される大量の史料が伝来しており、商家としての歴史的推移を追認することができます。それによると、馬場家は宝暦年間(1751年~1764年)に薬酒類を持参する旅商い(行商)を開始し、中山道を中心に商圏を拡大していきました。寛政10年(1798年)に甲州に出店すると、呉服類の卸業へと転身をはかりますが、その姿は典型的な近江商人の経営展開を示すものでした。江戸時代後期に発行された近江商人の番付である「湖東中郡日野八幡存々持余家見立角力」には、高宮出身の2人の近江商人の上位に当家先祖である「馬場利左衛門」の名が認められます。
 現存する馬場家の屋敷は、主屋を中心に4つの蔵が配された重厚な造りとなっています。その主屋は桁行が10間、梁間が6.5間の2階建て・入母屋造・瓦葺・平入の形式であり、特に2階の外壁は漆喰で軒裏まで塗りこめられています。1階平面は、南北方向に抜ける「とおりにわ」と梁間方向に3列並ぶ居室によって構成され、居室南側に「おくみせ」「みせ」「おくざしき」「くちざしき」「なかのま」「なかのま」といった接客空間、居室北側に「ぶつま「「じゅうじょうのま」「かみさんのま「だいどころのま」といった日常空間が広がります。「とおりにわ」には奥に進むにつれて幅が狭くなる不整形な平面となっています。また、聞き取りにより、「なかのま」と「とおりにわ」に挟まれている押入は後の改造のものであり、以前は上り口であったとのこと。2階平面には、西側に居室である「たんすのま」「しょいん」「くらしょうじ」「かみゆいべや」「へや」「くらしょうじ」、東側に物置である「つし」が配置されています。なお、「たんすのま」は他の居室と異なり、板敷きで床が高く、桔木のような材が床から突き出しています。
 馬場家文書の中には、天保3年7月から天保12年9月に至る「棟上祝儀帳」が伝来しており、現存する主屋や土蔵などがこの間に建立されたことがわかりますが、主屋については、主屋東側の鬼瓦側面に「天保四」の銘を確認しており、主屋の建築年がおよそ天保4年(1833年)と想定されます。主屋は一部に改造があるものの全体としては建立当初の外観を保っており、室内の間取りにおいても良好な状態で維持されています。土蔵は現在、主屋に附属ずる「ぶんごぐら」「どうぐくら」「しんぐら」、主屋入り口付近に位置する「ひがしぐら」の4棟が存在しますが、以前は、このほかに米蔵が3棟ほど存在しました。主屋に附属する土蔵のうち、「しんぐら」は主屋から少し離れた位置にあるとともに、主屋とは異なる平面計画であることから、主屋の建築より後に「さんじょうのま」2室や、「ろうかのま」とともに増築されたと考えられます。
 このように、馬場家は中山道を中心に広範囲な商業活動を行った近江商人であり、高宮を代表する商家として庄屋を兼ねることもありました。現存する建物は、そのことを物語る重厚な造りであり、上級商家の当時の暮らしを知る上でも貴重な歴史的建造物と言えるでしょう。


※外観のみで、内観は非公開となっております。

市指定文化財 馬場家住宅

滋賀県彦根市高宮町